デンタルインプラントについて

 歯が抜けてしまった後の治療法として、取り外し可能な義歯や両隣の歯を削り連続した歯を作って被せるブリッジという方法が一般的でした。しかし義歯では義歯を固定するための金具、をかける歯が悪くなりやすい外れやすい、噛み心地がよくない、といった欠点があります。
 ブリッジでも両隣の歯を削らなければならない、歯の欠損が多くなると対応できない、といった欠点がありました。従来からあるこれらの抜けてしまった歯を補う方法にありがちな欠点を補う方法として近年急速に普及してきているのがインプラント治療です。


 インプラントは歯が抜けてしまった後のあごの骨にチタン製の人工歯根を埋め込み歯を作る方法です。
 チタンという金属が骨の細胞と密着することがスウェーデンのブローネマルクにより発見され、日本では昭和50年代から臨床へ応用され始めました。様々な改良が加えられ現在市場に出回っている製品では成功率95%を超える臨床成績を得られるようになっています。
 インプラントは義歯やブリッジのように隣接する歯を削ったり傷めることがない、インプラント本体が骨としっかり結合しているので咬む力をしっかり支、えることができ、違和感がないなど他の方法にはない利点があります。一方手術を行わなければならない、保険が利かず治療〜費が高額、治療期間に3ヶ月6ヶ月程度かかる、などの欠点があります。
 

 インプラント治療が急速に普及するとともに、技術的に未熟な歯科医師が行った治療トラブルがマスコミでも報道されるようになってきています。信頼できる歯科医師を見分けることは難しいことですが、インプラント治療に関しては安易に抜歯をしない歯科医を選ぶということが大切です。歯科医師にとっては歯周病の治療にせよ神経を取った後の根の治療にせよ現在の医療制度では保険医は保険で治療することになっています。
 インプラントを積極的に行う歯科医師ほど、これら歯を保存するための治療を軽視して予後不安な歯は抜歯してインプラント、ということになりがちです。
歯が無くなるには虫歯や歯周病、かみ合せの不調和など歯を失うに至った原因があるはずです。インプラントを植えたからといって欠損は補えても歯を失った原因が無くなる訳ではありません。したがって歯を失った原因の改善は欠かせません。


 それが無ければ次々と歯を失い、歯が無くなるたびにインプラントといった悪循環です。患者は歯科医師に治療に先立ちこれらの病気の原因とその治療について十分な説明を求めるべきですし、歯科医師もそれら説明の上で患者の同意を得るべきであることはいうまでもありません。
 手術を伴うインプラント治療では安全に埋入手術を行うために事前のCT撮影は欠かすことができません。きちんとした歯科治療の上で行われるインプラント治療は、治療の選択肢でも第一選択肢となりつつあります。一度主治医にご相談ください。

理事 布山 徹
(安曇野市 布山歯科医院)