五十肩と石灰沈着性滑液包炎

Q 肩の激痛で受診しました。「肩関節周囲炎で滑液包張先生.jpgに石灰沈着があります。」と云われました。どんな病気ですか?

 

A 肩関節周囲炎とは肩関節の軟部組織の炎症によって痛みと関節の動きが悪くなる病気です。

50才ごろに好発するので一般的に五十肩と云われます。痛みのために髪が結えない(腕が上がらない)、帯が結べない(手が後ろに回らない)、洋服の着脱や物を持ち上げることもできず、ゴルフスウィングもつらくお尻に手も届かないと云った状態です

肩の痛みが誘因なく起こり、急速に増強する(急性期)、数週から数カ月すると自発痛は和らぐが、動きが悪くなり運動時痛が固定してきます(拘縮期)。多くの場合痛みが治まってから1〜2年で症状は自然に軽快します(回復期)。の3期に分けられます

原因ははっきりしませんが中年以降にみられることから肩関節の老化も関与していると思われます肩関節は他の関節と異なり 球状の上腕骨骨頭が肩甲骨のくぼみにはまり込んでいますがそのくぼみが小さく浅いため関節が不安定です。

そのため骨の周囲の関節包や筋肉、腱や腱板靭帯などの軟部組織で補強されており、常にストレスがかかりやすく、炎症や癒着が起こりやすいと考えられます診断技術が発達し、肩の痛みの原因が分ってきました。

腱板の老化や腱炎・断裂などの肩腱板障害、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着を伴った石灰沈着性腱板炎や石灰沈着性滑液包炎などは広い意味での五十肩(肩関節周囲炎)に含まれていましたが、このような診断名がはっきりしたものは最近では五十肩から除外されております。

 

あなたの病気は上記の石灰沈 着性滑液包炎と思われます。激痛が急激に起こり、じっとしていても、ことに夜間痛が激しくちょっと触れても、ちょっと動かしても悲鳴をあげるほどで震えが来るほど痛かったと思います

診断は問診で何処がどのように痛くなったとか、どのようなときにどんな痛みがあるかとか詳しく聞きます。患部を触ったり、動かして診察します。レントゲン写真に石灰沈着像が認められることで診断確定できます

治療は患部に局所麻酔剤とステロイド剤を注入することで劇的に鎮静します。時には注射による石灰吸引も行われ、稀には手術で石灰を除去することもありますが多くは保存的療法で治癒します。中年以降の患者さんで、明らかな原因もなく肩の痛みと運動障害の起きるいわゆる。五十肩より治しやすい病気です。

長野県保険医協同組合理事 張 洛善

(松本市 あずさ整形外科医院)