痛風と高尿酸血症

 痛風は歴史的にも著名人が数多く罹患したとされております。古くは、マケドニアのアレクサンダー大王に始まり、元のフビライ、芸術家のミケランジェロ、宗教改革のマルチン・ルソー、科学者のベンジャミン・フランクリン、アイザック・ニュートン、チャールズ・ダーウィンも痛風に罹患したとされます。
 痛風はいわゆるグルメの病気といわれ、贅沢な食をしているとかかるんだと我々も子供の頃から聞かされてきました。しかし、日本人全体の食事が昔より贅沢になったことは事実ですが、贅沢な食事(=プリン体の多い食品)を摂ることだけが高尿酸血症の原因ではないことがわかってきました。

 

 わが国において、1950年代までは年間100例にも満たなかった痛風は高度成長期に患者数も急増したといわれています。その後も伸びつづけて、国民生活基礎調査(厚生労働省)によると1987年には25.5万人だった通風患者は、1998年には約2倍の59万人に増加しました。

 


 痛風の原因となっている高尿酸血症はどうだったかと申しますと、1970年代には男性の約15%が高尿酸血症(尿酸値7.0mg/dl以上)でしたが、2006年の大規模調査では男性の26.2%(男性の4人に1人)が高尿酸血症と報告されております。


先程述べたように、もともと高尿酸血症は一般にはプリン体の多い食物を摂取することにより生ずると言われておりますが、意外にも肥満そのものからも生じております。


肥満→インスリンの抵抗性増大→高インスリン血症→尿細管での尿酸の再吸収の促進→血清尿酸値の上昇という図式が成り立っているといわれており、又、果物に多く含まれるフルクトース過剰摂取が血清尿酸値を高めています。本来プリン体を含まないフルクトースがインスリンを介さず肝に取り込まれ、急速なATP消費を伴って尿酸が産生されます。このようにフルクトースのような糖質の摂取も高尿酸血症の原因となっています。


 
 最近はプリン体オフのビールとか色々宣伝されておりますが、アルコールそのもので血清尿酸値は上昇します。アルコールを全く飲まない人に比べ、アルコールを1日50g以上摂取する人は痛風の危険度が2.5倍になるといわれております。


一方、高尿酸血症と生活習慣病の1つ高血圧症と合併するとどうなるでしょうか。統計上は狭心症や心筋梗塞の発生率が上がることが証明されております。又、他の報告では高血圧症の合併がなくても血清尿酸値が8.5mg/dlを越えると正常値の方に比べ、虚血性心疾患は1.7倍起こりやすく、脳血管障害は2.5倍起こりやすいといわれております。


 
 治療については、血清尿酸値7.0mg/dl以上は高値といわれ要注意ですが、合併症の有無により高尿酸血症を治療するかしないか変わってきます。痛風の方はとりあえず炎症を抑える治療から開始しますが、痛風の方であればいづれ血清尿酸値を6mg/dl以下に維持することが望ましいとされています。痛風を発症していない方も血清尿酸値7mg/dl以上の方は一度かかりつけの先生に御相談されることをおすすめします。

 

鈴木泌尿器科(長野市)
 鈴木 都美雄