口腔と全身の病気の関係5 掌せき膿疱症、金属アレルギーその他の病気

掌せき膿疱症、金属アレルギー


 手のひらや足の裏に多数の赤みを伴った水疱ができる病気です。口腔内の細菌が原因で起こる場合があり、進行した大きなむし歯で歯の根の先に起こったり、歯周病で起こることもあります。口の中が原因で起きた場合は歯科治療により原因を取り除くことで治癒します。歯にかぶせた金属が体に合わない場合も同じような症状が現れることがあります。この場合は金属を使わないとか、別の種類の金属に替えることで治ってきます。

 掌せき膿疱症はむずかしい名前ですが、某有名女優が罹患したことでこの名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかも知れません。この病気の原因は「ビオチン欠乏」によるものという説が最も有効です。ビオチンとは体外からの摂取ではなく、腸内でつくられるビタミンH。腸内細菌の環境が悪化し、ビオチンがつくられない又は腸内細菌がビオチンを食べてしまい結果としてビオチン不足になって発病すると考えられています。掌せき膿疱症の人には糖尿病を併発している人も多く、喫煙も厳禁です。ニコチン代謝のためにビオチンが大量に使われるためです。腸内環境を改善しつつビオチンを体外から補給することで治ってきます。


 扁平苔癬


 原因が不明なこともありますが、歯科の金属によるアレルギーにより症状が出る場合があります。金属に接触する口の中の粘膜に紅い斑点・白い斑点や刺激のある痛みが現れたり、金属に接しない別の部位の粘膜や離れた皮膚に症状が出たりします。原因となる金属を他の金属などに替えることで良くなってきます。日頃から時計や装飾品などに対してアレルギーの出やすい人は要注意です。


 尋常性天疱瘡


 原因は不明ですが口の中の粘膜や皮膚の成分に対する自己免疫疾患です。中高年に多くみられ、自分で自分の組織を壊してしまう病気です。最初に症状が現れるのが口の中の粘膜であることが多く、ついで皮膚に大きな水疱が現れます。正常な皮膚を指で擦ると水疱が形成されます(ニコルスキー現象)。再発しやすい病気です。昔から口の中の傷は治りやすいといわれていますが例外もあります。



 認 知 症


 病気による脳の萎縮や脳血管性障害で正常に発達した知的機能が継続的・段階的に低下し、日常生活に支障をきたした状態です。認知症の進行防止改善には、手指の運動、噛むことによる食事、本人の興味を引き出すことなどによって脳の血流を改善し、脳の活性化を図ることが有効です。特に食事は毎日欠かすことの出来ない行為であり、患者さんが自分で噛み、食事をおいしく味わえることは認知症の防止・改善に有効なことが判ってきました。



 バージャー病


 日本に10,000人ほどの患者さんがいるといわれています。特に喫煙する20〜40歳代の男性に好発する手足の閉塞性動脈疾患です。この病気は末梢血管に閉塞をきたすために、手足に血液が十分供給されず酸素不足となり指やかかとに痛みや潰瘍を作ります。原因は不明で国の難病に指定されています。タバコを吸わない人にはほとんど現れません。この病気のヒト全員が中等度から重度の歯周病があり、患部の血管のほとんどから歯周病菌が見つかっています。また歯周病があるヒトの方がない人よりも潰瘍が悪化します。口腔ケアが行き届いた国ではこの病気が減少したといわれています。禁煙が最大の予防です。(シリーズ〜歯と全身の病気の関係 終わり)

鈴木 信光
 辰野町 鈴木歯科医院