口腔と全身の病気の関係4 動脈硬化と心筋梗塞・脳梗塞、胃潰瘍、早産など

動脈硬化と心筋梗塞・脳梗塞


 誰でも口の中には500種類以上の細菌がいるといわれています。昔から敗血症(菌血症)の影響として心内膜炎が起こることがあるということが知られていました。さらに最近、歯周病菌が動脈硬化や脳梗塞などの血管系疾患にも関わっていることがわかってきました。1999年に動脈硬化病巣から歯周病菌が発見されています。

 脳梗塞でも同じように歯周病性の細菌が関わっていると思われます。心臓の内側を覆っているのが心内膜です。この内膜に炎症を引き起こしたのが細菌性心内膜炎といいます。歯周病などで常に歯茎から出血をしている状態では細菌が歯肉から血管に入り、全身を回って心臓の弁などに付着します。通常、血管に入った歯周病の細菌は白血球に捕まり無毒化されます。しかし体の抵抗力が低下していたり、もともと心臓に異常のある人は細菌が付着しやすくなります。細菌の増殖が始まると血流が阻害され、よどんだ血液は固まって血栓を形成します。この血栓がはがれて再度全身を巡り、脳の血管や心臓の血管を詰まらせることによって脳梗塞・心筋梗塞を引き起こすと考えられていますが、詳しいことはまだ解明されていません。  


 胃潰瘍


 胃潰瘍の主な原因はピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)ということが判ってきました。ピロリ菌は胃酸の中でも生きていける細菌で、胃がんも引き起こすといわれています。口の中にもピロリ菌に似たキャンピロバクターという細菌がいて、歯周病ではこの菌が増加します。すると身体のほうでこの菌に対するアレルギー反応が起き、同時にピロリ菌に対してもアレルギー反応が起こります。そのため、歯周病と胃潰瘍の両方が悪化してしまうことが判ってきました。



 早産など


 歯周病が早産・低体重児出産に影響していることが10年ほど前から判ってきました。そして現在、歯周病菌そのものの影響と歯周病菌が出す炎症性の物質による影響の2つのことが考えられています。歯周病菌が直接、血管を通って産科器官にとどき産科器官に感染が生じる場合と、重症な歯周病の妊婦では持続的な歯肉の炎症で上昇した炎症性物質により、正常な出産時期前に分娩作用がひきおこされることが考えられます。

 妊娠すると女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)のうちプロゲステロンは毛細血管を拡張させ炎症反応を増大させます。さらにつわりにより口腔ケアが不十分だと歯周病が悪化します。妊娠中に歯周病が長引くと歯周病菌から出された物質が低体重児出産に関わってくるといわれています。さらに、生まれた赤ちゃんは虫歯にかかりやすく、進行が早いことも判っています。実際に低体重児出産の母親には歯周病が多いといわれています。また、早産の可能性が歯周病を持つ妊婦では7.5倍も高まるとも言われています。

鈴木 信光
 辰野町 鈴木歯科医院