口腔と全身の病気の関係3 骨粗しょう症、頚部蜂窩織炎、シェーグレン症候群

 骨粗しょう症


 骨粗しょう症は骨折につながる骨強度(骨密度と骨質)の低下する病気で、通常、症状はほとんどなく、骨折によって気づくことが多いので「沈黙の病気」と呼ばれています。

 わが国ではこの病気の正確な患者数はわかっていませんが、1,000万人程度ともいわれており、更なる高齢化により倍増すると思われます。人は20歳前後で骨量が最高値に達しますが、40歳前後から次第に骨量の低下をきたし年間1%以上といわれています。女性では閉経後数年は2〜3%ですがそれ以後は10倍に達します。

 骨は破骨細胞による古くなった骨の骨吸収と骨芽細胞による骨形成が繰り返されています。閉経後女性ホルモンのエストロゲンが不足すると破骨細胞の機能亢進が生じてきます。骨粗しょう症があごの骨に現れますと下顎骨がもろくなり、歯周炎が発現しさらには歯が動き出して抜かなければならなくなります。

 治療法は薬物療法が主になりますが、完全なものはなく、エストロゲン補充療法は心臓発作・脳卒中・乳がん・血栓形成などの危険があります。現在はビスホスホネート(BP)系製剤が主な治療薬になっていますが、最大の副作用は骨露出あるいは骨壊死です。1年以上の投与で発症率が急激に高まり、口の中では他の場所と異なり、感染性骨壊死が起こってきます。当然抜歯などは出来ません。

 副作用が現れた後の治療法はまだ確立されていませんので、BP投与の前に歯科治療を終了させておく必要があります。



 頚部蜂窩織炎


 治療されていない大きなむし歯があると、むし歯の穴から細菌が歯の根を通ってあごの骨に入ります。細菌の感染によりあごの骨が溶けると周囲の組織に炎症が広がります。特に、下顎の内側に感染が生じると炎症は急速に広範囲に広がり、そのために周囲が腫れて気管を圧迫して呼吸困難になることがあります。また首の筋肉と筋肉の隙間から、炎症が下方へ進み胸まで炎症が広がるとさらに重い感染症を引き起こし致命的になることもあります。
 また下顎の親知らずの周囲から感染することもあります。糖尿病などの基礎疾患があるとさらに症状が重くなります。



 シェーグレン症候群


 膠原病のひとつで主に中年の女性に発症し、原因不明の自己免疫疾患です。症状は目が乾き涙が出づらい乾燥性角膜炎や、口の中の乾燥、慢性関節リウマチなどがあります。唾液を作る唾液腺が炎症を起こし、唾液が出にくくなるため、口の中が唾液で洗われず不衛生になり、虫歯が多発し口臭が出たりします。唾液が少なくなると歯周病も進行しやすくなります。また口が渇くと粘膜が荒れたり舌が焼けるように痛んだり(舌痛症)入れ歯の安定が悪くなったりします。この病気に限らず、年齢とともに唾液の出る量が少なくなりますので、正しいブラッシングと定期健診は欠かせません。

鈴木 信光
 辰野町 鈴木歯科医院