アルコールで失敗しないために 〜 夏だ!ビールだ!ビヤガーデンだ!!〜

暑い夏、乾いた喉に一気に流し込んだビールはうまい。一方、飲酒運転による悲惨な事故や酒気帯び運転により、人生棒に振ってしまったというようなニュースが後を絶たない。飲みに行く前に飲酒運転しようと思う人は少ない。飲酒により理性や判断力が霧散してしまう故にハンドルを握ってしまうのである。

 この忌まわしい(?)アルコールを我々人類が好んで飲むのは、主に多幸感、解放感、生きる喜びが得られ(スペインではワインをキリストの血、フランスでは命の水と呼ぶ)、且つビールでは口渇が改善されるからである。しかし、影の部分もあり、それらを理解した上で、人類最古そして最高の嗜好品を楽しんでいただきたい。

1.健康面:飲みすぎるとアルコール性の肝硬変や膵炎、脳症(歩行などの運動の障害が多い)などになる。どの疾患になるかは個人差がある。日本人の男性の適量は日本酒3合、ウイスキーダブル3杯、ワインならグラス3杯、焼酎2合、ビール大瓶3本以下である。女性はその50〜70%が限界である。自分の健康を害さない酒量を把握しておくようにする。
 毎日晩酌する人は2日、48時間連続の休肝日を設けると劇的に肝機能が改善し、さまざまな臓器障害を防ぐことが可能である。

症例:35歳、独身男性。酒だけが楽しみで毎日、日本酒5〜7合の飲酒。AST159、ALT89、γGTP779、週2日の休肝日を指示。1ヶ月後AST29、ALT21、γGTP199に改善した。読者もトライしてみるとその効果を体験出来よう。

 急性アルコール中毒、いわゆる一気飲みによる障害である。最近では入学時にその危険性につき指導、禁止する大学が増加し、死者は減少した。しかし、呼吸抑制や昏睡それに続き吐物による窒息や錯乱など、救急外来の4月の見慣れた光景である。ゆっくり味わうのが飲酒の王道であり、最も安全な飲み方である。
2.社会面:個人が正常な判断力や運動能力が維持不可能となる酒量を知っておく。すなわち、某大学学長のように階段から足を踏み外し頚椎損傷し死亡するというような事故を防止し、且つ反社会的な事件を引き起こさないようにする。

日本は飲酒に対し世界的に超許容文化圏であった。酒の上での行動はほとんど許され、社員旅行などで気難しい上司が飲むほどに野人になる、ハイになって女性の肌に触れるなど以前は案外人間らしいと好感度がアップした。しかし、飲酒マナーもグローバル化が進み、ある国際会議に酩酊状態で出席した日本の大臣が国内外で非難されたのは記憶に新しい。

 自らの判断力や道徳律の破綻する限界以上の量を飲まないことが肝要である。臨界点が近づいたら、帰宅するか、アルコールをウーロン茶やジュース、水に切り替え酔ったふりをして酔いを醒ますようにするテクニックを身につけると良い。

「酒は飲むべし。百薬の長。」とするのか、留置場に入る「気違い水」にするのかは飲むあるいは飲まれる人次第である。

宜保 行雄
(松本市 宜保消化器科内科クリニック)