口臭の原因

 口臭を主訴にして歯科医療機関を訪れる方がいます。
一口に口臭といってもその原因はさまざまで、大きく分けると虫歯や歯周病(歯槽膿漏)、舌苔(舌につく汚れ)、唾液の減少など口の中に原因がある口臭、糖尿病や便秘など全身的疾患が原因で起こる口臭、ニオイのきつい食べ物を食べたりタバコを吸ったりしたときに一時的に起こる口臭などに分類できます。
 また、自臭症といって実際にはほとんど臭っていないのに自分の口臭を気にしてしまう症状もあります。
 虫歯で穴が空いていると中に食べ物が詰まったままになりやすくそれらが腐敗して臭いの原因になります。歯周病では歯茎から血や膿が出るようになり、歯と歯茎の境目は細菌の絶好の住みかになります。口の中の細菌は様々な臭い物質を出しますから虫歯や歯周病がある場合は治療を行うことが先決です。舌苔も細菌ですから舌苔が多いと口臭の原因になります。近頃では舌苔ブラシや舌ベラなど歯ブラシと同じように舌をお掃除する道具も売られていますから口の中のお手入れが口臭予防には欠かせません。

 唾液には汚れを洗い流し、唾液性分の中には細菌が増えないようにする抗菌作用物質もありますから唾液が減少すると結果的に口の中が不潔になりやすく口臭の原因になります。唾液が減少する原因にはシェーグレン症候群やバセドウ氏病といった病気の他、抗鬱剤(抗うつ剤)、鎮痛剤、利尿剤、抗パーキンソン剤、降圧剤などの多くの薬物の副作用として唾液分泌の低下があります。
 口の中が原因でない口臭もありますが便秘なども口臭の原因になることがあります。腸の中の細菌も善玉菌が多いと問題ありませんが便秘などで悪玉菌が増えると臭い物質を多く出しますから規則正しい食生活は口臭予防の第1歩です。

 自臭症という症状も近年増えているような気がします。口臭を訴えてくる患者さんですが自臭症の方の口の中は例外なくきれいで、虫歯や歯周病はおろか歯の汚れはついていない方がほとんどです。過度の潔癖症やストレス、過去に口が臭いといわれた心のトラウマなどが原因で心因性口臭・口臭恐怖症・精神的口臭ともいわれ、心理的、精神的なことの原因が大半です。口臭はないことを説明して安心してお帰りになればよいですが納得がいかず何軒もの歯科医院や病院めぐりをしてしまう方もいて対応が難しいケースもあります。
 むろん病的な口臭は治療しなければいけませんが、人間も生き物ですから無臭、無菌の人はいません。ブレスケアグッズ、除菌抗菌グッズが売れる時代ですが、多少の体臭も許容できるような心のゆとりを持てる社会が大切だと思いますがいかがでしょう。

布山歯科医院
布山徹