腎不全の治療と寿命

治療法について
 腎不全になると、「透析」という言葉が浮かぶと思います。最近は、生活習慣病である糖尿病から、腎不全・透析になることが多く、国民病のひとつになりました。毎年3万人が新たに透析患者になり、2万人が亡くなるため、約1万人が純増している計算になり、現在28万人程度に達しており、医療費も1兆4000億円を超えています。
 ところで、腎不全の治療には、選択肢が4つあります。まず、@人工透析(皆さんが透析と呼ぶもので、ダイアライザーという特殊な膜を使って、腎不全により体内に蓄積した老廃物を「拡散」という方法で除去します)。A腹膜透析(手術で、特殊なチューブを自分のお腹の中に入れ、そこに透析液を出し入れし、老廃物を排出します)。B人工透析ろ過(腎臓本来の「ろ過」機能を付帯させ、より高度の透析を行う)。C腎移植。です。

延命効果の違い・特色
 では、どの治療法が優れているのでしょうか。それぞれの治療法の違いですが、簡単に言うと、透析の能力の差=寿命・延命効果の差と言えます。正常な腎臓の機能を100%と考えた時、各治療方法を腎機能に換算すると、Cの腎移植が約50%、Bの人工透析ろ過が約25%、@の人工透析が約8%、Aの腹膜透析が約6%と計算できます。当然、高いほうが、治療効果が高く、合併症の発生も低いため、延命効果は高くなります。しかし、現実の透析治療の選択は、その効果や理論通りにはなされていません。延命効果の最も高いCの腎移植は中々増えないのが、まさに象徴的で、これは外国に比べ献腎が少ないことが原因です。Bの透析ろ過に関しては、現在、保険適応が一部にしかされていないことと、またその治療に必要な機材の値段が非常に高く、その最新治療は赤字治療になることが普及の障害になっています。必然的に、治療効果が劣る@の人工透析やAの腹膜透析が選択されることが多くなります。そして、もっとも大きな問題は、患者自身が、治療法に関し、医師任せで、不勉強であり、それをいいことに、医師も十分な情報提供を怠っていることです。

最 後に
 透析医療は、社会復帰(勤労し、社会に貢献する)を前提で、延命のための治療ではありません。3割自己負担が原則の中で、透析だけは、自己負担限度額が、1万円となっており( ただし、診療のある月の標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の被保険者またはその被扶養者については、自己負担限度額は2万円)、それも市町村から(手数料300円を除き)補助されるため、実質は300円の負担で受けられます。さらに障害者扱いになるため、税負担の軽減や年金などの加算もあります。不幸にして透析を受けることになっても、落胆するのではなく、保険料を払っている方に恩返しする気持ちを持って、社会復帰してもらいたいものです。

 

南長野クリニック

山崎 徹