多重債務問題

今回の話題は、こういうことも医療の対象となるのか、と思われるような多重債務の問題です。しかし、「夫があちこち借金をして困る。これまで実家からの援助で返済してきたが、もう限界だ」といった相談は、精神科診療所には結構あるのです。

 ご本人は、返せるあてもないのに借金を重ねているように思われますが、借金を繰り返す理由として、ギャンブルへののめりこみ等が考えられます。本人にとって好ましくない結果が生じているにもかかわらず、アルコール等の物質を過剰に摂取することがやめられなかったり、ギャンブル等の行為にのめりこんだりしている状態をアディクション(嗜癖) といいます。借金を繰り返す人は、このようなアディクションに陥っている可能性が高いのです。しかしその理由がはっきりしないからといって対応できないわけではありません。なぜなら、返せるあてもないのに借金を繰り返す人と、そのことでお困りの家族との関係の修正が第一歩となるからです。

 まずは、ご家族が地元の精神保健福祉センターや保健所に相談するか、アディクションを専門的に扱っている医療機関や相談機関を紹介してもらうようにするといいでしょう。そのようなところでは、家族へのカウンセリングや集団療法が行われているはずですし、また自助グループを紹介されることもあるでしょう。 家族がなぜそういうところに通わなくてはいけないかとお思いかもしれませんが、本人があまり困らず家族が困っているという構図を、家族が楽になって本人が困るという関係に変えない限り、本人はそれまでの行動を変えようとはしません。そこで、ご家族が楽になるための方策を考える必要があるのです。

本人が自分のアディクションから回復したいという気持ちになったら、専門機関に通っていただき、本人のための自助グループに参加するという段階になります。この場合、専門機関よりも自助グループへの参加のほうが重要です。ギャンブル・アディクションの自助グループは長野県でも活動を開始しつつあります。

 全国的な活動をしている自助組織として、NPO法人ワンデーポート(045−303-2621)があり、さらに借金の処理については、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局(03-3774-1717)や(財)日本クレジットカウンセリング協会(03−3226−0121)に相談するといいでしょう。

  加藤 信
(松本市 かとうメンタルクリニック)