認知症の理解のために

認知症を理解する事は結構難しいです。それでも、理解するために役に立つ法則的なことがあります。それを理解していただければ、当事者の悩みが少しは減るでしょう。

 第1法則 記憶障害に関する法則

 たとえ実際にあったことでも、その記憶がなければその人にとっては事実たり得ない。

@記名力低下:体験したことを瞬時に忘れてしまうひどい物忘れ同じ事を何度も話すのも自分が話をしたことを瞬時に忘れてしまう 。                    

対応)同じ事を繰り返していると反論しても無駄。「このひとはうるさい」と患者が思うだけ。反論しないで聞き流す。

A全体記憶の障害:出来事全体をごっそり忘れてしまう状態  食事をした直後でも食事の催促をするのは食べたことを忘れているから。

対応)「今食べたばかり」と反論するのは逆効果。「今用意している」などと言う。あらかじめ用意しておいたおにぎりなどを出したりする。

B記憶の逆行性喪失:「蓄積された記憶が現在から過去にさかのぼって失われていく現象」その人にとっての現在は記憶に残っている時点にある 「自分の妻を自身の親と思ってしまう現象」本人の意識が若年時に戻ってしまっているからである。

 第2法則 病状の出現強度に関する法則

「より身近な人に対して強く出て、身近でない人の前では出ない」介護者に一番つらくあたるので、介護者は患者さんが意地悪しているように思える。

 第3法則 自己有利の法則

 「自分にとって不利になる事は絶対に認めない」うそでも認めない 認知症では判断力や理性が低下していて、本能的な自己保存意識が前面に出ているためで、悪意はない。

 第4法則 まだら症状の法則

 「正常な言動と異常な言動が混在する」認知症の初期には正常な言動が大部分であるが、物取られ妄想などの異常が混じってくる。正常と思える人が異常なことを言うので周囲が混乱する。

 第5法則 感情残像の法則

 記憶などの機能は低下しても、感情のレベルは低下せずむしろ鋭敏になっている。 他人から忠告されても理解できず、怒られたと言う感情をうける。説得よりも同情で対処する。一度感情を害すると、長くその感情を保つため介護の妨げになる。

 第6法則 こだわりの法則

 1つの事にこだわる。周囲の人が否定すればするほど一層こだわる。実害がなければそのままにしておく。患者さんは権威者に弱いので医師や看護師から説得してもらう。

「貯金がなくなった。」と言い続ける場合、銀行員に依頼して貯金が安全な事を説明してもらう。虚偽でも良いので納得してもらう。  

中島勉
長野市 中島医院